住まいを長持ちさせるための知識 |
しろあり |
住まいに大きな被害を及ぼす「しろあり」には、主としてヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。
ヤマトシロアリは北海道の一部を除いて日本全国に、イエシロアリは関東地方以南に分布しています。
両者とも湿った木材を好み、湿気の多い床下などに害を及ぼしますが、イエシロアリは自ら水分を運ぶことができるため、その被害は小屋裏まで及ぶことがあります。
建築工事の際には、床下にカンナくずや木片を残さないように注意していますが、建物周囲に木柱や木の垣根、木片などがあると、ここを巣として「しろあり」が繁殖する場合がありますので、敷地内に木片を放置したり、埋め込んだりしないようにしてください。
4月から7月にかけて羽蟻を見つけたら要注意です。
「しろあり」の羽蟻か普通の蟻の羽蟻か確認してください。
床下の布基礎内部表面などに、地盤面から泥で固めたような道(蟻道)がある時は、「しろあり」がいると考えられます。
被害が進行すると木材の内部から空洞化してきますので、木槌などで叩くと空洞音がします。
近所で「しろあり」による被害が発生したら要注意です。
「しろあり」やそれによる被害を見つけたら、被害の大小を問わず、専門の防虫駆除業者にご相談ください。
なお、今まで防蟻剤として使用されていたクロルピリホスの化学物質が建築基準法の改正により、平成15年7月1日から使用が禁止されていますのでご注意ください。
結露 |
空気中に含まれている水蒸気が冷たい材質の表面に凝結することにより結露が生じます。
窓などの開口部、壁面、押入れ、浴室などの仕上材の表面に発生し、放っておくとカビが生え、家財などを破損することとなると共に、アレルギー症状等の原因となる場合もあります。
また、外壁の内部などに結露を生じると木材を腐朽させる原因となり、住まいの耐久性を大きく害します。
同じ建物内において、一部屋だけを極端に暖めすぎると、暖房をしている部屋と暖房をしていない隣の部屋との温度差は大きくなり、内部建具、間仕切り壁面に結露が生じます。
隣接する2部屋間の温度差は極力少なくするように努めてください。
押入れ、収納などの内部は結露しやすいので、頻繁に戸を開けて換気してください。
布団などで内部の空気の対流が妨げられやすいので、「すのこ」を下に敷くなどの工夫をして空気の循環を良くしてください。
浴室では、入浴後は窓を開けるか、換気扇を回して換気に心がけてください。
また、常時入り口の窓(扉等)を閉めておくことを徹底し、住宅内に湿気を漏らさないように注意することが必要です。
カビ |
カビは、適度な湿気と温度、栄養のあるところにはどこにでも繁殖し、温度20〜70℃、湿度70%以上になると急激に発生し易くなります。
また、建材や仕上げに使われる接着剤や糊を栄養分として結露によるシミや湿気のある場所に発生するので、まず、結露を防ぐこと、通風を良くすることが重要となります。
カビが発生したらすぐ取り除くことが重要ですが、あまりひどくなったカビは専門の業者に頼んでください。
特にビニールクロスの場合は、裏側にカビが発生してしまうと張り替えるしかありません。
また、表面のカビを取る場合は、中性洗剤等を薄め、堅く絞った雑巾で拭き、ドライヤー等で乾燥させるといいでしょう。
ダニ |
ダニは、高温、多湿を好むため、一般的に、夏に発生して活発に活動し、冬には活動しないものといわれています。
しかし、最近は暖房設備や加湿器の普及により、住宅内でダニが活動しやすくなっています。
カーペットや畳、カーテン、衣類などを不潔にしておくと、埃やフケを餌としてダニが発生します。
ダニが発生すると、かゆみ、腫れ、ニキビ、喘息など様々な病気の原因になるといわれています。
予防法は掃除をすることと、多湿にならないように換気を良くすることが重要です。
掃除機で1u当たり1分を目安に埃を入念に吸い取ってください。
掃除機の使用はダニの捕獲と同時に畳の乾燥にも役立ちます。
また、畳の上には敷物(絨毯、カーペット等)は使用しないこと。
畳の通気性を悪くして、ダニの格好の棲家となります。
ちなみに、ダニの発生する梅雨時の少し前から布団乾燥機や除湿機を使用すると、ダニが発生しにくくなります。
(参考:茨城県土木部都市局住宅課監修『平成17年度・住まいづくり情報ガイドブック』)
住まいの経年別チェックと更新リサイクル |
住まいは、安全・快適に住むためには、定期的な点検、補修更新が必要です。
以下、主な部位別のチェックポイントと手入れ・更新サイクルの目安についてまとめましたので、我が家の健康診断を行って下さい。
部位 | チェックポイント | 更新サイクル | |
屋根 | トタン葺き | 変色・サビ・浮き | 塗替え3〜5年・取替え10〜15年 |
セメント瓦葺き | 変色・ズレ・割れ | 塗替え5〜10年・葺替え15〜20年 | |
コロニアル葺き | 変色・ズレ・割れ | 塗替え5〜10年・葺替え15〜20年 | |
日本瓦葺き | ズレ・割れ | 点検5〜10年・葺替え20〜30年 | |
樋 | (塩化ビニール) | 詰まり・ハズレ・ヒビ | 点検 毎年・取替え10〜15年 |
(銅) | 詰まり・ハズレ | 点検 毎年・取替え15〜25年 | |
外壁 | サイディング | 汚れ・褐色・コーキング劣化 | 吹替え5〜10年・全面補修15〜20年 |
モルタル | 汚れ・褐色・亀裂はくり | 塗替え4〜7年・全面補修15〜20年 | |
金属板 | 汚れ・サビ・変形 | 塗替え3〜5年・全面補修15〜20年 | |
板張り | 腐食・塗装のハゲ | 塗替え3〜5年・全面補修15〜20年 | |
バルコニー | 木製部 | 腐食・破損 | 塗替え3〜5年・取替え15〜20年 |
金属部 | サビ・破損 | 塗替え3〜5年・取替え10〜15年 | |
アルミ部 | 腐食・破損 | 塗替え5〜10年・取替え20〜30年 | |
躯体 | コンクリート基礎 | 亀裂・不同沈下 | 点検4〜6年 |
土台 | 腐れ・虫食い | 防腐・防蟻処理5〜10年 | |
大引き・根太 | 腐れ・虫食い・キシミ | 防腐・防蟻処理5〜10年 | |
外部建具 | アルミサッシ | 戸車・クレセント・不具合 | 部品取替え4〜7年・取替え20〜30年 |
木製サッシ | 戸車・クレセント・腐食 | 部品取替え4〜7年・取替え10〜15年 | |
雨戸・網戸 | 戸車・不具合 | 部品取替え・張替え4〜7年 | |
窓枠・戸袋 | 腐れ・コーキング劣化 | 点検5〜10年・建具取替え時 | |
内部建具 | 木製・既製 | 建付け・不具合・ハガレ | 調整そのつど・取替え15〜25年 |
ふすま | 建付け・ハガレ | 張替え3〜5年・取替え10〜15年 | |
障子 | 建付け・ハガレ | 張替え2〜4年・取替え15〜20年 | |
クロゼット | 建付け・不具合・ハガレ | 調整そのつど・取替え10〜25年 | |
内壁 | クロス | 黄ばみ・ハガレ | そのつど貼替え・貼替え5〜10年 |
塗り壁 | 汚れ・ハガレ | 点検3〜5年・塗替え10〜15年 | |
設備 | 給水管・水栓金具 | 水漏れ・赤水・パッキン | 調整そのつど・点検1〜3年 |
排水管・トラップ | 水漏れ・つまり・悪臭 | 部品取替え3〜5年・取替え15〜20年 | |
ガス管 | ガス漏れ・ゴム管劣化 | 不良箇所随時・取替え15〜20年 | |
給湯器 | 水漏れ・ガス漏れ | 不良箇所随時・取替え15〜25年 | |
浴室 | U.B・浴槽 | 水漏れ・キズ・腐食 | 部品取替え5〜10年・取替え15〜25年 |
タイル目地 | 欠け・汚れ | 点検 毎年 | |
壁 | カビ・割れ | 点検 年2回 |
以上は、一応の目安で、地域や建築予算、日常の手入れにより差はあります。
Umehara lumber merchant